どちらを選ぶか悩む必要はありません。 特にセキュリティに過敏になる必要が なかったり、NIS+ を使わねばならない特別な理由がない限り、NIS を使いましょ う。 NIS+ の管理はずっと大変です(クライアント側ではそれほどでもあ りませんが、サーバー管理は地獄です)。それに Linux 上での NIS+ はまだ開 発段階で、データの暗号化や認証の機能がまだサポートされていないのです(こ れらは NIS+の大きなメリットなんですけど…)。
trad-NIS を用いるか NYS ライブラリの NIS コードを用いるかは、 「低機能だが安定」をとるか「柔軟だが冒険」をとるかの選択と言えます。
trad-NIS のコードは標準 C ライブラリに入ってからだいぶ経ってい ます。生まれが古い分、やや柔軟性に欠けるところがあります。
一方 NYS ライブラリの NIS コードを用いるには、すべてのプログラムを再コン
パイル・リンクして libnsl
ライブラリを用いるようにするか、 libc
ライブラリを再コンパイルして libnsl
のコードを libc
の中に含め
るかする必要があります(既にそのようにコンパイルされた libc ライブラリを
入手できるかもしれません)。
訳注: Red Hat Linux の libc
は nys 機能( libnsl
のコード)
を含んだものになっているそうです。従って NIS クライアントになるために
ypbind
は必要なく、 /etc/yp.conf
や
/etc/nsswitch.conf
など(NIS+ クライアントになる場合は
/etc/nis.conf
も)を設定するだけです。設定方法は
NYS を用いた NIS クライアントの設定
の節を参考にしてください。
また trad-NIS のコードでは NIS のネットグループ機能が使えますが、 NYS のコードにはまだ実装されていません。逆に NYS のコードでは Shadow Password を透過的に扱うことができるようになっています。